アオシマ文化教材社のEH10組立記〜「台車」編〜(1/50 scare)
 
  EH10用台車:DT101   
  4.台車の組み立て  
   このキットの特徴として「台車(DT101)」の作りをあげましたが実はゲージに関してあいまいなところがあります。 附属品には「お立ち台と」言うか展示用の飾り台(道床)が含まれています。 8つの輪軸すべてがこの飾り台のレールに載らなくては話になりませんが,この飾り台にも問題があるのです。
 このためこれらの問題を解決する必要があるので説明を加えて行きたいと思います。 またパンタグラフと同様「試作車」「量産車」ともに共通の部分が多いので「試作車」「量産車」と分けず統合したページ作りを行いました。
 
 
     
 
@ 展示用の道床(飾り台)について
 
     
   キットの製造年で展示用「飾り台(道床)」に対する組み立て順序に差がありました。 新しいキットでは最初に組み立てる内容に成っています。都合4本のレールで組まれますが「説明では方向性があると注釈があります。」にもかかわらず全て同じものが4本提供されていて対になるものが2組とは成っていないのです。 この矛盾に起因する不具合を新しいキットでは説明してくれていますがレール取付け穴に余裕(ガタ)があるので軌間が決定しません。 たぶん22(mm)位だとは思いますが・・・せめて数値を明記して欲しいと思います。 別シリーズで「1/50スケール,蒸気機関車シリーズ」がありますがこちらの飾り台はレールが一体に成っていて21(mm)軌間のようです。 21(mm)1/50のほぼファインスケールと成ります。
 飾り台の組み立てが最初になったのは完成後,展示台に乗らない事を防ぐ意図からだと判断出来ます。 車軸に輪芯(スポーク)をはめるとわかりますが飾り台の軌間以上に成りやすいので最初が良いのです。 まず飾り台を組み立てて,この台に乗るように輪軸(車輪の正式な呼び名)を組み立てると言う順番が合理的です。
 この「飾り台」は枕木の形状も実感的ではないし,軌間の問題もあるので別途スクラツチする事にしました。 詳細は完成のページで記すつもりです。
 
 
     
  1.  飾り台の組み立て図(キットの説明冊子から抜粋)。   
 
 
  2.   レールを取付け穴に当ててみると重なる部分が出る。 結局,組み立て図のように3mm程度カットする必要がある。   3.   完成した「飾り台」のレール端は揃わない。  
     
     
 
A ゲージと輪軸の組み立て
 
   ブログや2CH上にアオシマの電気機関車シリーズをSゲージのレールと関連づけた書き込みが目に入ります。 車体を組んでいる際に各部のスケールを確認しましたが,結構1/50に成っている事がわかりました。 アオシマの模型にゲージ論を持ち込む気はないのですがファイン・スケール(国鉄の1036mm軌間)を意識して21.5mm(≒1036mm/50)ゲージとしました。 称して「21番」です。この軌道は完成していないのでバックゲージをチェックして輪軸を組み立てる事にしました。 尚,タイヤ厚の効果で21番ゲージでもSゲージのレールに乗ると思われます。     
     
  1.  キットの車軸についている段を基準にタイヤを仮組しバックゲージを測定してみました。 組み立て方により最大24mmにまで達します。 逆に狭いとモーター(ダミー)が入りません。 あとで分ることですが,広すぎると台車枠の内部で制動装置にタイヤが接触する事が起きます。   2.  21番ゲージの輪軸のバックゲージは19mmとしました。キットの車軸とスクラッチした車軸を比較しました。 スクラッチした車軸はアルミ管と洋白丸棒(2φ)で作りました。 幸いダミーモーターは巾17mmなのでこのバックゲージで収める事ができます。   
     
  3.   スクラッチした車軸に輪芯(スポーク)を圧入しました。圧入と言っても簡単に貫通します。なるべくフレが出ないようにボール盤を使いました。 固定は瞬間接着剤を利用しました。   4.   輪芯を整形するため下記のような整形治具を作りました。  
     
  4.    この軸に輪芯を取付けたままボール盤に仕掛け回転し整形します。 但し,「高速回転」「♯200より荒いヤスリ」は厳禁です。輪芯のバリ取りが主な整形です。     4.    モーターを作りました。車軸の通る穴は車軸の径(4φ)よりも0.2mm大きくしました。 車軸にピッタリではスムースに回転しません。 但し,穴は4.5mm位までが限界です。   
         
  5.   最後にタイヤをはめ込み完成です。 タイヤのメッキは接着面のみはがし他は落とさずそのまま生かしました。    6.   完成した輪軸のバックゲージを確認しました。 モーターの巾が17(mm)なのでタイヤ間の空間はほとんどありません。  
       
     
 
B 台車枠の組み立て
 
   組み立て書を読んでいくと「台車が首を振らない」事がわかります。 また,せっかく「ゆれ枕」を作り込む事ができるのに可動しません。 そこで「ゆれ枕は可動」とし「台車が首をふれる」よう製作する事にしました。  
     
  1.   車軸口(車軸穴)を広げ真鍮パイプ[外径3φ/内径2φ,長さ4.5mm]を圧入しました。尚,念のため瞬間接着剤を併用しました。さしずめメタルを挿入したかっこうです。 転がりを期待してですがディスプレーを目指すならほとんど必要ない加工です。   2.   次に,砂箱を付ける事から始めました。 砂箱の取付金具がオーバースケールなので思い切ってカットしました。 実物でもほとんど小さいので目立っていません。   
     
  3.   試作車の第1台車と第4台車の砂箱のうち乗務員扉下の梯子に干渉する砂箱は位置に偏りがあります(A.,C.)。 キツトは量産車となっているので,この点は考慮していません。    4.   量産車の第1台車と第4台車の砂箱には偏りはありませんが梯子(ステップ)が台車に付いています。 5.,〜 7.をご覧下さい。   
 
試作車:[1段目と3段目は偏りがある。 2段目は量産車と同じ] 
 
 量産車:[ステップ付(第1,4台車)。]  
 
  5.  0  プラスチックでは強度的に心許ないので・・・。 0.4t真鍮板でスクラッチしました。 板厚が少々薄かったようです。   6.    展開図を示します。 取付けは0.5φ真鍮線を介して台車に接着(瞬間接着剤)し固定しました。板   
         
  7.   板厚が少々薄かったようです。 キットのパーツでも結構強度があるのでスクラッチの必要性は薄れました。   8.   「軸箱」に作用する「コイルバネ」がキットでは省略されているのでプラ丸棒()から作りました。 砂箱の「蓋」はプラ板材(0.2t)から作りました。   
     
     
 
C 台車後部端梁について
 
     
  1.    試作車の端梁は前後が同じ形と成っています。 前,後ともU字形なので字形に成っていない後方を洋白材(0.5t)で字形に作り直しました(量産車は2.参照)。    2.    量産車の端梁は前後で端梁が違っています。 キットのパーツがそのまま使えます。    
 
 試作車の台車枠
 
量産車の台車枠(キットのまま)
 
     
 
D 揺れ枕の組み立て(前編)
 
     
  1.   キットのままでは「下揺れ枕」を吊っているリンク(吊りリンク)が“ハの字”に成るので揺れ枕側で手直ししました。   2.    下の写真の通り間隔を8mmにします。 隙間には0.3tのプラ板を接着し吊りリンクにムダな遊びが出来ないよう配慮しました。   
       
  3.    キツトの吊りリンクは可動を意図していないので真鍮材でスクラッチしました。 数が多いので治具を製作しました。   4.    吊りリンクピンは極小ハトメに真鍮線(0.8φ)を圧入したものです。    
     
  5.    「吊りリンク用ピン」がはまる箇所()はキットの台車梁にすでに設けられた穴を利用します。 この穴はバリで埋まっていますのであけ直します。   6.   吊りリンクを「台車枠」へ仕込みます。 このリンクで荷重を受けるので吊りリンクの上部空間はプラスチック材で埋め込みました。   
       
  7.   模型の荷重を「吊りリンク用ピン」で受けるので下記の通り接着だけでなくプラスチック帯(Tie)で補強しています。    8.  板バネはダミーなので組み立て図通り「上,下揺れ枕」の間に収め接着しました。 下から「下・揺れ枕」,「板バネ」,「上・揺れ枕」は接着し一体化しています。 「枕梁」は塗装後に接着します。    
         
  9.    上揺れ枕の上に「台車枕梁」が乗ります。 この梁の中心軸が芯皿にはまる訳ですが,キットまままではこの軸を中心に台車が回転しない(首を振らない)ばかりか台枠に固定出来ません。 そこで台車枕梁の中心軸にネジ(M2)を切り固定できるようにしました。 しかもこの軸を中心に回転できる事になります。   10.    首を振らない理由は「枕梁」に付いている突起が芯皿梁にあいた穴に落とし込む構造になつているからです。 そこで,枕梁の突起をカットしました。   
         
     
 
E 台車枠ほかの塗装(試作車) 
 
   ここで,試作車に用いる「台車枠」「台車梁」「吊りリンク」「下揺れ枕」「板バネ」の塗装を行いました。 落成時を想定しているので「灰色」に塗りました。 量産車の方は「黒色」なのでもう少し後に塗る事にします。  尚,EH101の落成時は台車は灰色ですが板バネは黒に成っていたようです。  
     
  1.   「台車梁」を塗装しました。 台車枠のはまる部分は塗装しません。     2.   「台車枠」と「揺れ枕」を塗装しました。   
         
  3.   「ブレーキシュー」などの制動部品を塗装しました。     4.   「ブレーキシュー」は塗装前に整形が必要です。   
         
     
 
F 揺れ枕の組み立て(後編)
 
   試作車に用いる「台車枠」「台車梁」「揺れ枕」の塗装が出来たので引き続き台車の組み立てを行います。 量産車の方も同様です。  
     
  1.    「下揺れ枕ピン(0.7φ真鍮線)」を用い「吊りリンク」を「下揺れ枕」内へ組み込みます。 「下揺れ枕ピン」は圧入したままです。  
         
     
 
G 輪軸入れ
 
     
  1.   「台車梁」の加工:矢印部の「爪(?)」を除去しました。 モーターを支えるのに使用します。    2.   組み立て書通り「台車枠」に輪軸を組み込みます。 輪軸は台車枠の穴に挿入しますが「モーター」はこのままではフリーの状態なので「爪」で支えます。 丸で囲んだ「爪」は除去。   
         
  3.   モーターを支えるのに「爪」だけでは不十分なので2.および3.の矢印で示した通り1t厚プラ材を挿入し補強しました。    4.   モーターの固定具合が輪軸の回転に影響を与えます。 ここでの調整が台車の組み立てで最も苦労する箇所です。 輪軸が軽く回転する位置でモーターを固定するのがコツです。 結局,台車内部でのクリアランスは1mm程度でした。  
         
  5.   「ブレーキー・シュー」を組み込む前に「第1,4台車」と「第2,3台車」とで異なるので注意が必要です。 部品番号A-10,A-11は「第2,3台車」用です。    6.   部品番号A-8,A-9は「第1,4台車」用です。 ブレーキテコがブレーキシリンダー上まで伸びているのが特徴的です。 伸びている先は「手ブレーキ」の動作に作用します。    
         
  7.   「第2,3台車」の場合です。 A-10,A-11を組み込みました。   8.   「第1,4台車」の場合です。 A-8,A-9を組み込みました。  
         
  9.    ブレーキ引き棒は水平ではなく左側()がわずかに下方へ傾斜しています。 第1,4台車の場合も同様です。      10.   連結引き棒(A-15)を接着しました。  
       
  11.  連結引き棒(A-15)の取付け具合を下方から見ました。   12.    下揺れ枕の端(?)がキットにはなかったので0.5tプラ板と1tプラ板でスクラッチしました。  
        
  13.   下揺れ枕の端を加工していない(キットのまま)。   14.   下揺れ枕の端を加工し実感的に成りました。    
         
  15.    最後に外側のブレーキシュー(制輪子)をリンクしました。 これにより強度や輪軸への接触が改善されます。 内側の制輪子に対しては11.の通りです。 全ての台車へ加工しました。   16.    15.に同じく量産車へも加工しました。 写真は第2台車です。  
         
     
 
H 排障器の取り付け
 
   1,4台車には「排障器」が取り付けます。 キットでは付け方が明確でなかったので,スペーサーを介して台車端梁に取付けました。  
     
  1.    スペーサーの巾は20mmです。 排障器の間隔(外側)は22mmです。 これで取付けがだいぶ楽になります。   2.     「排障器」を取り付けた状態です。 レール面から1.5mmの位置にセット出来ました。    
         
     
 
I ATS車上子の製作(EH1015
 
   EH10の落成時にはATSがありませんでした。 その後,全車に装備されました。 製作したEH103は落成時を意図しているのでATSは未装備としました。 一方,EH1015ATSの装備車としました。 車体に関係する事ですが「信号炎管」についても同じように対処しました。   
 
 No  工事  施工年
 1) 信号炎管の取付け。   昭和39年〜
 2) ATS:自動列車停止装置の取付け。   昭和39年〜
 3) 運転設備:正面窓下の手摺追加,連結器上のステップ追加,誘導用ステップの改良,テールライト脇手摺。   昭和36年〜
 
   
  1.    実物の車上子。 第2車体側の台車(第2台車)端梁に付いています。 キットの組み立て書には第1車体にもつけるよう書かれていますが誤りです。   2.    キットのパーツ(下の写真の右)は似ても似つかぬ形なので自作を余儀なくされました。 左が自作したATS車上です。   
         
  3.    第2車体側の台車(第2台車)端梁に取り付けました。    4.    第1車体を連結したところ。  
         
     
 
J DT101台車の調整(量産車)
 
   このキツトの台車は良く出来ています。 その一つに「手ブレーキ用のテコ」が再現されている事です。 手ブレーキ用のテコの付いた台車は第14台車です。 キットの車体は「試作車」に近く乗務員扉の位置も試作車の通りです。 これを量産車にするには,この乗務員扉を移動し運転室を広げる必要があります。 その際に,手ブレーキテコの当たりを避けるスペースをつぶさなくてはならなく成りません。
 
手ブレーキテコの当たりを避けるスペースを床板に作る事は「仕切り板(パーツ:I-12)」もある事から断念するしかありません。 そこで,このテコを短くする事にしました。 よくよく台車の図面と見比べるとオーバースケールなので縮めても問題ないとわかりました。 
 
     
  1.    1台車,第4台車の手ブレーキテコの長さを2mm縮めました。 このテコを避ける床板のスペースは約1mmだったのでこれで十分です。    2.    わかりにくくて恐縮ですが「量産車」「試作車」で手ブレーキテコの長さが異なる結果と成りました。 もちろん実物は同じ長さです。   
         
     
    以上で台車の組み立てが終わりました。 輪軸を台車枠へ組み込む段階では軽く回転していましたがブレーキシューを追加するとタイヤに接触し回転が抑制されてしまいました。 踏面に接触してなら仕方ないのですが残念な結果です。 最後に台車の角度をご覧下さい。  
     
  1.   試作車のセットです。   2.    量産車のセットです。   
         
  3.    試作車の台車を下方から撮影しました。    4.    量産車の台車を下方から撮影しました。   
       
  5.    試作車の第1台車,第4台車です。   6.    量産車の第1台車,第4台車です。   
         
  7.    試作車と量産車の台車後部梁の違い。    8.    量産車:EH1015ATS車上子付き台車(第3台車)。   
         
  9.   砂箱の一部はステップをよけるため離れています。 試作車の第1台車,第4台車にみられます。    10.  試作車と異なりステップは台車側に付いています。 第1台車,第4台車にみられます   
         
     
  砂撒き管は省略しました。 これで台車は完成しました。  
             
 
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